結構、色んな問題があるんですよ。粘土を捏ねて、形を作り、火で焼くところは判っているんですが、形の作り方が判らないもんなんです。
たとえば、現在の焼き物では当然のように使われている『轆轤(ろくろ)』も何時から使われたかが、良く判っていないんです。一般的に考古学の世界では、轆轤水びき製法になってからの回転台を『轆轤』と呼びますが、どこからが轆轤水びき製法なのか判然としません。
さらに回転台も、どこからが回転台なのか。例えば、弥生土器の底部に葉っぱの圧痕があり、葉っぱで土器を滑らせて回転したと思われるものがあります。この葉っぱは回転台と呼べるのかという問題もあります。
どういう機能を持った段階から『回転台』と認定するのかという難しい問題もあります。また、当時の人間が『回転台』と認識して使っていたかどうかも問題です。
また、表面に残る痕跡から成形方法を判断するのですが、篦で削った場合と、篦で撫でた場合の判別が難しい場合もあります。一般的には粘土内の砂粒が移動していれば、篦で削ったと判断することが多いです。
いずれにしても、出来上がった製品から製作過程を復元するのですから、完全な復元は不可能だと思います。だからこそ、考古学が楽しいと思える訳ですけど(笑)。