今日は、考古学そのものの話ではありません。以前にも取り上げた民俗学のお話です。考古学からすれば『関連学問』にあたる民俗学ですが、奥が深いのはもちろん、入り口だけでも大変興味深いです。
民俗学には、巨匠と呼ばれる方がいらっしゃいます。それも2人。柳田国男と折口信夫という、先達です。
柳田国男は官僚の地位にあって、日本民俗学の開祖とも言われる業績を残した人です。岩手県の遠野を取材して記した『遠野物語』はあまりにも有名です。
一方、折口信夫は柳田国男につづいて民俗学を掘り下げた人ですが、かなり趣が違います。柳田国男が資料主義を貫き、堅実な民俗学を構築しているのに対し、折口信夫は想像力豊かな民俗学を築き上げました。
それぞれに特徴があって、比較した論文も多数あります。非常に緻密で、出典などを詳しく記した柳田国男に対して、イメージを多く語り、出典もあまり明かさない折口信夫はミステリアスでさえあります。
私の恩師は、考古学者にしては珍しく、出典をあまり詳しく書かない人なので、その影響からか折口信夫に親近感を憶えてしまいます。その恩師から『折口先生は出典を書かへんからなあ』と愚痴を聞いた時は、吹き出しそうになりましたが・・。
いま、折口信夫全集を探しているんです。どこかで安く売ってないですかねぇ。柳田国男全集は、結構安く見かけるんですけど。