最近は、精度を考えずに手順を忠実に守っている人が多く見受けられますね。何の為に図化するのかも、全くポリシーを持たない人がいるのには閉口します。
実測図は絵ではありません。製作技法の情報の入っていない実測図は使えないんです。最近の報告書は、そういう図面のオンパレード。
極論を言えば、実測図は客観的に書ける訳がないんです。土器を如何に理解したかを表現するのが、実測図の本来の役割だと言えます。無用な歪みなどは、全くもって図化する意味がない。断面側と外形側の形状が違うように書くのも、その違いに意味が見いだせる場合のみで良いはずです。
時折、『土器のこの部分で実測したから、このような断面になった』と言い訳する人がいます。基本を間違えています。測るべき位置がずれているのです。土器全体を表現できる位置で断面図を作成してください。なぜなら、断面図は特定の位置の断面を示すのではなく、土器の標準断面を表すのです。
そうした意味で、何箇所かの断面を合成して、標準断面図を作成する行為は、全くもって正しい。それを捏造という人は、土器の実測図の本質をわかっていないと思います。もう少し、考古学の実測図の基本について、学びましょうよ。