今日も、福岡県南部の某市で甕棺の実測をしてきました。いつもは昼過ぎにお邪魔して夕方まで作業することが多いのですが、今日は午前中から昼過ぎまででした。
写真に写っているのは、学生時代から愛用しているディバイダーという実測用具です。かれこれ20年以上の付き合いですから、もう完全に相棒ですね。(笑)
今日、実測した甕棺は壷型の土器の上部を打ち欠いて、甕棺の蓋にしたものです。外面は篦磨きが施してあったと思われるのですが、摩耗していてボロボロでした。
内面は、篦状の工具で強くナデた跡が観察でき、『ほほう』という感想です。ちょっとマニアな感想でしょうかねぇ?
上部を打ち欠いた状況も解りやすかったので、上からの図面もおこしてみました。刻目凸帯文土器を実測していると楽しくて、テンションは上がりっ放しでした。
弥生時代の初めまで、甕棺は壷形をしているのですが、刻目凸帯文土器の段階では完全に壷型をしているので判りやすいですね。弥生時代の甕棺の成立を考える上でも、非常に重要な資料になると思われます。
福岡県南部という甕棺文化圏の辺縁部に、刻目凸帯文土器の甕棺がある事実は、弥生時代のはじまりを考える上でも、重要な位置を占めます。まだ、全体の半分も作業は終わっていませんが、地道に図化作業を行いたいと思います。